人との接触というと、強引に掴まれる、突き飛ばされる、
殴られる蹴られるといった
暴力でというものばかりが常だったので。
握手したり肩を軽く叩かれたり、
頬にかすり傷あるよ?どうしたの?とそっと指でなぞられたり。
大変だったねなんて髪を梳かれたり頭を撫ぜられたりなんて、
こうまで大きくなってから、初めて体験することばっかりで。
ああそういえば絵本とかにあったなぁ。
でも、そういうことをしてもらえるのは、親のいる子だけなんだって、
自然とそうだと思うようになっていたから。
だから、
「ん〜〜〜っ。敦は暖ったかいなぁ。」
いやほら、ここんとこ朝晩 妙に寒いじゃねぇか。
それ忘れてて、うっかり薄手のシャツにとっ代えてたもんだから、と。
待ち合わせた公園のベンチから立ち上がりざまに
こちらへぎゅむって抱き着かれたその感触が、吃驚したけど嬉しくて。
頼もしい肉置きの腕が背中まで伸ばされて絡まる
ジャケット越しの力強さとか。
こっちの首とおとがいの間へ触れる頬は確かにちょっと冷たかったけど、
頬に触れる柔らかな髪の感触とか、
体温にあおられてか ふわりと舞うように届く
品の良い花の香りと甘い果物のしずくが混ざったみたいな、
それはドキドキするいい匂いと。
どうしてだろ、やんちゃっぽくしがみつかれたのに、
ああなんて頼りになることかって、それはそれはホッとする。
合わさった胸板同士なところから、
いっそ吸い込まれるみたいに一つになれたらいいのになぁなんて。
若しかせずとも女々しいことを想ってしまい、
「? どした?」
何も言い返さないままじっとしてたら、おやと不審に思ったか、
ほんのちょっとだけお顔を浮かせて、こちらを見やってくる中也さんなのへ、
もしかして泣きそうな顔になってたみたいで。
切れ長の綺麗な目をギョッとしたように見開いてしまう。
「どした? こんなとこで強引なのは ヤだったか?」
違うの、そうじゃないんです。ああでも何て言ったらいいものか。
ぎゅうと口許食いしばってしまったから、
ますますと焦ったように困ったように、ドギマギしてしまったけれど。
そのまま も一回こちらの頭を引き寄せて、
何度も何度も頭を撫でてくれて、
「…よぉし、とりあえず ウチ行くぞ。」
どうしよう、困らせたまんまだ。
「いい子だから我慢できるな?」
? 何を我慢ですか?
キョトンとしたら、口許ニイッと真横へ引くよにして笑って、
間近になった耳元へぼそって、
「ウチぃ帰ったら何でも好きなだけしてやるからよ。
食べたいもんあるか?
それともいいっていうまでこんな風にぎゅうしてたいか?」
「〜〜〜〜〜っ。//////////」
うわうわっ、何でだ何で?!
何も言ってないのに、何で判ったんだ?
今度は、今度こそ、恥ずかしくって真っ赤になってたら、
ふふんと小さく笑った吐息がして、
「なぁんだ、やっぱ俺と同じこと考えてたんじゃねぇかよ。」
ちょろいぞ敦、なんてって、
ほら行こうって力強く手を引いてくれる。
今時分は夕方でもまだまだ明るいけど、
行き交う人たちとも少なくはないだけ擦れ違うけど。
つないでくれた手が頼もしくって、
ほらほらって引っ張ってくれるのが嬉しくなって
思わず吹き出してしまうほど 何かどうでもよくなってしまう。
ああ知らなきゃよかったな。
こんなに温かくてこんなにやさしい人。
ねえ、マフィアだなんて嘘じゃないんですか?
もうもう絶対離れてしまうなんて考えられないもの。
公園横の駐車場まで、パタパタ軽快に駆けながら、
肩掛け鞄に忍ばせた包みを確かめる。
賢治くんの紹介で商店街で配達のバイトさせてもらって
色々見て回って、与謝野さんの知り合いだっていう宝石店で
だいぶおまけしてもらって カフスを選んだ。
気に入ってもらえるかなぁ。
上手に言えるかな、
中也さん おめでとうって、ありがとうって…。
Happy Birthday! To Tyuuya Nakahara!!
〜 Fine 〜 19.04.28.
*突貫もいいとこですいません。
去年は準備する時間取れたのになぁ。
3期放映で舞い上がってたからってのもあるのかも。
リアタイで見るその時だけじゃないですから、舞い上がってるのは。
その時間になるまで落ち着かないし
地上波でもっかい観られると思うとやっぱり落ち着かないし。(笑)

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